「ルクモの丘」では、持続可能な開発のもとに観光事業が行われています。 それができているのは、
地域が団結し主導権を握ったこと、地域住民の意識改革・積極的な参加・ 協力・忍耐があったこと、
課題を認識し解決したこと、人材を育成したこと、
同じ想いを持った人々が参加するようになったこと、
様々なステークホルダーが合意したことなどがあったからです。

2010年12月8日

「ルクモの丘」地域ガイド向けインタープリテーションの講習会 ~第5弾、第6弾~

今回の講義はインタープリテーション技術を実行するためのポイントについて講義を行いました。

遺産インタープリターとして分かりやすく説明するポイントは:

・身近にあるものと連携して伝える 
・ルクモの丘エコツーリズムルート協会の目的や自分自身の目的(メッセージ)を明確に意識する
・案内する際にストーリーを作成する
・自分の知識、経験、想像力を常に磨く
・楽しく伝えるための工夫をする

などを学び、また先輩の経験をみんなでシェアしながら、受講者同士で刺激しあう場ともなりました。教える、というよりは、彼らの持っている経験や知識などを整理し、わかりやすく説明できるようにサポートした講義でした。

受講者のコメントとして出たのは、

「受講者のニーズに合わせてプログラムを組むことが大事だとわかった」
「各場所で話すことをストーリーとしてつなげることの重要性」「ロマスの丘に生息している野鳥の話や、いることの意味について学べた」など。満足度は高かったようです。







「ルクモの丘」で地域ガイド向け講習会 ~第3弾、4弾~

今回の講義2日間はダニエル・ヴァジェ氏が行いました。彼はロマスの生物多様性にとても詳しい生物学者です。ヴァジェ氏いわく、「海岸にある砂漠の丘」はアメリカ大陸では唯一チリとペルーにしかないようです。他にも「ロマスの丘」の生物多様性や地形、成り立ちについて分かりやすく説明し、受講者にとっては目からウロコな情報が盛りだくさんの講義となったようです。

受講者からのコメントとしては、 
「あっという間に時間が過ぎてしまった」、
「もっとフィールドで講義を受けたい」、
「ルクモの丘の生物多様性について分かりやすく説明する重要性を認識した」
などが寄せられました。ヴァジェ氏担当分の講義は、今後2回あります。さて、「ルクモの丘」の緑のシーズンはもう終わりましたが、週末になるとリマ市の学校がポツポツと来ています。今回もヴァジェ氏の講義が終わった瞬間に200人強の中学生の訪問がありました。

『これはチャンス! 受講者がガイドしている姿を直接見ることができる!』と思い、同行してみると・・・・・・

講義で学んだことを活用しているガイド、グループコントロールがまだできていないガイド、一方的な情報提供のみのガイドなど、バラバラの状態でした。

次回の講義で補足したいと思います。

2010年11月15日

「ルクモの丘」地域ガイド向け「インタープリテーション」講習会 ~第1弾、第2弾~

インタープリテーション講習会(「ルクモの丘」地域ガイド対象)の第1弾と第2弾を、去る11月12日と13日に実施しました!

インタープリテーションとは、「物事をわかりやすく伝え、参加者が興味を持つきっかけを作る技術」のこと。

ガイド暦7年からまったくゼロの人まで、20人ぐらいの地域ガイドが集まり、インタープリテーションの講義に積極的に参加してくれました。講義内容は、
・「インタープリテーションとは」
・「遺産のインタープリテーションとは」
・「インタープリテーションの原則」
・「理想のガイドとは」

など。今回は「新しいものを教える」というよりも、「彼らが元々と持っているものを引き出し、気づかせる」ことも目的でした。
講義は参加型にし、スムーズに進めることができたと思います。

今回、講義を実施して感じたのは、今まで関わった団体(ボーイスカウト、環境教育のNGO団体、自然学校など)での経験が非常に役に立ったということ。過去に経験した様々なことがパッチワークのようにつながっているからこそ、今回の講義が実施できたと思っています。
まだ3つの講義が残っていますが、「この講義に参加して良かった!」、「この講義はとても役に立った!」、「これはガイドをする時に活用したい」と思えるような講義となるよう頑張ります。



2010年11月7日

「ルクモの丘」で観光

「ルクモの」での観光は、その地域の人々の主な収入源となっており、現在はリマ市内の学生(小・中・高・大)が主に訪問していますが、「ルクモの」の周辺観光地(パチャカマ遺跡など)と抱き合わせで、観光会社がパッケージツアーなどを企画することもあります。

混雑しているリマ都市を離れて自然で楽しむことを望む個人旅行者(友人同士、家族や夫婦など)は、週末に自家用車やバスなどに乗って、「ルクモの」でハイキング、トレッキング、ロッククライミング、パラグライダー、マウンテン・サイクリング、懸垂下降などの体験をすることが可能です。

ルクモで持続的な観光といっても…
問題はまだあり、その解決に必要とするものは?

海外からの旅行者の数は少ないですが、少しずつ増えています。ただ、依然として外国人対応のできる施設や、旅行会社の広報が不十分だと思われます。

「ルクモの」の地域にとって、観光を持続可能な活動としたい想いがあります。しかしながら様々な団体や旅行会社の意識はまだ低いというのが現状です。
持続可能な観光を実行するには、様々なステークホルダーの意識向上と責任ある行動が必要です。自然のバランスの保持、生物多様性の保護、コミュニティーの習慣や価値観の尊重、文化交流、地域の情報などを、旅行会社を通じて発信していくことができれば、地域の持続可能な開発により貢献できるのではないでしょうか。


地域住民

パチャカマ市にあるケブラダ・ベルデ(緑の谷)はアンデスから移住してきた人々が新たに作った村で、およそ100年前、農業と家畜の生活からはじまりました。そして、10年以上前から、ケブラダ・ベルデの数人の起業家たちは観光を通じて自分の住む地域の経済発展とリマ県の最後の緑の谷の保護に挑戦し、様々な団体がこの挑戦をサポートするようになりました。
年々観光客がふえ、地域住民は1998年にロマスの保護と地元の雇用創出のために「ルクモの丘観光協会」を設立しました。現在、若者たちは先輩たちに影響を受け、主に50人ぐらいの地域住民によるガイドがルクモの丘を案内しています。

地域の人々はめげずに歩みを進め、経済、社会、自然の保護が持続可能となるよう頑張っています。私たちも彼らのように、困難に負けずに歩んでいきたいと思いました。
現在に至るまで、地域開発に対する地域住民のモティベーションが低かったり、ルクモのロマスで勝手に家畜を放牧する人がいたり、大手の企業がロマスに無断で立ち入ったりするなどの問題がありましたが、その都度乗り越えてきました。

GEAグループの紹介

ルクモの丘に関わるステークホルダーのひとつ、NGO団体の『GEA GROUP(環境起業グループ)』を紹介します。GEA GROUPは、「地域住民が環境に対する意識を持ち、地域ぐるみの環境保全活動を持続的に推進していく仕組みを作ること」をモットーに18年間活動を続けています。

GEA GROUPは、「持続的なコミュニティーとツーリズム」事業の一環として「行こう!パチャカマ!」プロジェクトを実施しており、リマ市にわずかに残っているグリーンエリア「ロマスの丘」で、地域の環境保全と経済発展に協力しています。このプロジェクトでは、イタリアの資金援助、およびアトコンゴ協会(セメント会社の社会貢献事業推進団体)とパチャカマ市役所の戦略的提携により、ルクモの丘、エル・カルダル、サンタ・ロサ・デ・マルパソの3箇所で人材育成を実施し、地域をベースとしたツーリズムを推進しています。
主な活動:
  エコツーリズムのルート作り
  地域住民向けガイド技術講習
  MERCK会社との戦略的提携により、ルクモの丘の町に
  「タラ」植物を植林
  地域をベースとしたツーリズムの推進
  インタープリティブセンターの設置

パチャカマ市の地方自治体

パチャカマ市にある「ルクモの」の自然を保護し、観光を盛上げようとする活動は、地域住民の主導で始まりました。当初はほぼだれからの援助もなく、地方自治体のサポートすらありませんでした。しかし、ここ数年でパチャカマ市は、パチャカマ市を観光で盛上げる計画を進めるようになりました。リマ県の「一番の観光市」を目指し、観光で地域を活性化していこうと計画しています。最近はリマ市からの観光客が徐々に増え、目的を達成できるようになりました。しかし、この場所を宣伝するだけではなく、地域住民が自分たちで持続可能な開発にむけて進んでいく仕組みが必要です。
パチャカマ市はNGO,GEAグループと共同で「持続的な観光」に力を入れており、グルメツアーや地域フェアなどを企画することで少しずつ成果が出始めています。そのおかげで、観光客は「ルクモの丘」にも足を運ぶようになりました。地域の人々は「ルクモの丘観光協会」を立ち上げ、観光をしながら自然を保護していく仕組みを作り始めています。